足場職人の仕事に興味はあるけれど、「資格がないと始められないのでは」と不安に感じている人も多いはずです。建設業と聞くだけで、専門性や責任の重さを想像し、二の足を踏む気持ちになるのも無理はありません。しかし実際には、足場職人は無資格でもスタートできる職種のひとつ。現場で経験を積みながら、必要な資格を取得していく流れが一般的です。
とはいえ、「資格を持っている人」と「持っていない人」では、収入や任される仕事に明らかな差が生まれるのも事実です。一定以上の責任が求められる作業では、法令上の資格が必要となることもありますし、企業側としても資格保有者に対しては、手当や昇格の機会を用意していることが少なくありません。
このように、資格は「無くても始められる」が「あることで得られるものが大きい」存在です。次のセクションでは、足場職人が取得すべき主な資格と、それぞれがどのような意味を持つのかを整理していきます。
とっておくべき資格はこの3つ。内容と違いを解説
足場職人として働くうえで、特に取得が推奨される資格は大きく3つあります。まず代表的なのが「足場の組立て等作業主任者」です。これは、足場の組立や解体などの作業を指揮・管理する立場になるために必要な国家資格で、高さ5メートル以上の足場作業では法律上この主任者の配置が義務付けられています。つまり、この資格を持つことで、現場でリーダー的な立場を担うことが可能になります。
次に「とび技能士(1級・2級)」があります。これは実技と学科の試験によって職人としての総合的な技術力が認定される国家資格で、会社によっては昇給や手当に直結する場合もあります。1級取得者には、より複雑で危険度の高い作業を任される傾向が強く、その分信頼も報酬も厚くなります。
最後に「フルハーネス型安全帯使用作業特別教育」は、現在ほぼすべての高所作業において必須とされており、現場に出る前にこの教育を受けておくことが前提となることも少なくありません。特別な試験はないものの、安全管理に対する意識の高さを示す要素として、企業側からの評価につながる場合もあります。
このように、それぞれの資格には役割と意味があり、自分のキャリアビジョンや現場のニーズに合わせて取得を検討するのが現実的な判断です。
資格ひとつで、収入も責任も大きく変わる
資格を持つことで得られるのは単なる“紙切れ”ではありません。実際には、収入・役割・職場での信頼感において大きな差が生まれます。とくに「足場の組立て等作業主任者」を取得していると、現場全体の工程や安全管理に携わる役割を任されるようになり、それに応じて日当や月給も高く設定されるケースが一般的です。企業によっては主任者手当がつくこともあります。
また「とび技能士」のような技能系資格は、現場での技術力を第三者的に証明するものとして機能します。職長・班長といった管理的ポジションを任されやすくなり、若手指導などの立場も担うことで、長期的なキャリアにもつながります。収入の安定化だけでなく、将来的に独立を視野に入れている人にとっても、資格の有無は重要な信用材料です。
さらに、現場では「この人なら任せられる」といった目に見えない評価が、日々の対応力や安全意識、そして保有資格によって蓄積されていきます。無資格でも努力は報われますが、資格という“目に見える信頼”を得ておくことで、現場内での役割が広がり、評価も加速していくのです。
次は、「では、実際にどうやって資格を取ればよいのか」「働きながらでも可能なのか」といった現実的な取得プロセスについて、具体的に解説していきます。
働きながらでも大丈夫。実務経験とサポートが鍵
資格取得と聞くと、勉強の時間が取れるか、費用はかかるのかと不安になる方も多いでしょう。ですが足場職人に関する資格の多くは、働きながらでも無理なく取得できるよう設計されています。特に「足場の組立て等作業主任者」は、足場工事に関わる実務経験が一定年数あれば、講習と修了試験を受けることで取得可能です。試験の難易度も、現場経験があれば理解しやすい内容が中心で、机に向かう学習だけが求められるものではありません。
また「とび技能士」は、都道府県ごとの試験センターが主催する制度で、実技・学科ともに日々の現場での知識と経験を応用できる内容です。日常的に道具を扱っている職人であれば、実技はそれほど高いハードルではなく、事前に傾向を把握していれば合格の可能性も十分にあります。学科対策は過去問題の反復が有効で、独学でも十分に対応可能です。
とはいえ、重要なのは「支えてくれる環境」があるかどうかです。資格取得に向けて時間や費用の面で支援があるか、講習への参加日を考慮してくれる柔軟な体制があるかは、企業選びの大切な判断軸になります。
株式会社タスクでは、そうした支援体制を制度として整備しています。資格にかかる費用の補助や講習期間中の勤務調整、さらに先輩職人からのアドバイスや試験対策の共有など、「取りたい」という意欲に応える仕組みが用意されています。働きながらの取得でも、不安なく挑戦できるサポート体制があるからこそ、社内での資格保有率も着実に高まっています。
次は、こうして取得した資格がどのように将来のキャリアに影響していくのか、現場の先にある選択肢について考えていきます。
職長や独立へ――資格が開くキャリアの選択肢
資格を取得することは、目先の収入アップにとどまらず、将来の働き方そのものを広げる手段にもなります。足場職人として現場で経験を積みながら資格を取得していくことで、より高い専門性を持った「職長」や「現場責任者」へとステップアップすることが可能になります。こうしたポジションに就くと、技術力だけでなく段取り力・指導力など、総合的な力が求められるようになりますが、それだけに報酬や裁量の幅も広がります。
また、一定の経験と資格があれば、将来的に独立開業を目指す道も現実味を帯びてきます。実際に、足場業界では職人として長年働いた後、個人事業主として仕事を請け負う形に転換する人も少なくありません。このとき、過去の現場経験とあわせて「どの資格を持っているか」は、元請企業との信頼関係を築くうえで極めて重要な要素になります。
加えて、近年では外国人技能実習生の指導や若手育成の機会も増えており、教える立場になることで現場内での評価がさらに高まる傾向にあります。とび技能士などの資格は、こうした“教えるスキル”の信頼性を裏付ける意味でも有効です。
株式会社タスクでも、社内での昇格にあたって資格の有無を正当に評価しており、若手でも取得状況に応じて班長や職長へのステップアップが可能となっています。「ただ作業をこなす人」ではなく、「現場をつくる側」の人材へと成長していける環境が整っているからこそ、職人としての将来に前向きな展望を持つ人材が増えているのです。
→ https://www.tasuku-inc.com/aboutus
「資格は不要」ではなく「武器になる」時代へ
足場職人の世界は、経験や人柄が評価される実力主義の世界です。確かに、資格がなくても現場で信頼を積み重ねていくことは可能ですが、今の時代、資格は単なる飾りではなく「目に見える信用」として、現場内外での立場を支えてくれる大きな武器になります。
職長として現場を引っ張りたい人、将来的に独立を考えている人、または安定した収入を築きたい人にとって、資格は選択肢の幅を広げる重要な一歩です。働きながら無理なく取得できる制度や、先輩の支援がある会社を選べば、未経験からでも着実にステップアップできます。
今の自分にできることを増やし、より信頼される職人を目指したいと感じている方は、資格取得をひとつのきっかけとして、未来の働き方を描いてみるのも良いかもしれません。